野川を歩く


真姿の池

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真姿の池

 国分寺の東側から流れるせせらぎは「全国名水百選」に選ばれた清流で、遊歩道が東に延びている。この遊歩道が「お鷹の道」で、初夏には水芭蕉の白い花が、夏には蛍が舞う。
 この道の中間辺り、国分寺崖線沿いの湧水を集めて流れる支流の上流に「真姿の池」があり、その中島に弁財天が祀られている。

 この辺一体は、都内では青梅市の御岳渓流とともに環境庁の「全国名水百選」に選定された「お鷹の道・真姿の池湧水群」として東京都の国分寺崖線緑地保全地域および都市計画国分寺緑地に指定され、周辺の雑木林は、下草の刈り払いが行われ、管理が行き届いており、国分寺崖線の雑木林景観がよく保存されている。
 「真姿の池」の名前の由来は、嘉祥元年(847)、絶世の美女と謡われた玉造小町は、当時業病とされた皮膚の病に冒され、その容色を失い、治療の効なく変わり果てた己が姿に、「御仏の慈悲にすがっても」と意を決し、小町は当地の国分寺を訪れ、薬師如来にぬかづいて一心に祈り続けたところ、三×七=二十一日目に一人の童子が忽然と現われ、小町をとある池の畔に誘い、「この池水にて身を洗うべし」そういいおいて童子は姿を消してしまうが、藁にもすがる想いで小町がいわれたとおりにしたところが、七日にして、元の美しい姿を取り戻したという伝説に基づいている。里人たちは、以降この池を「真姿の池」と呼び、弁財天をまつって、その霊験を伝えた。
 「真姿の池」は「新編武蔵風土記稿」に「広さ二間四方池中孤嶼に弁天の祠宇、この池水も田地へく」とある。(東京都t教育委員会の案内板および伝説の部分は小学館「東京近郊・ご利益散歩ガイド」東京散歩倶楽部編著より)
国分寺崖線
 国分寺から小金井・三鷹・調布・狛江を経て世田谷の等々力渓谷に至る標高差約十五メートルほどの崖線で「ハケ」と呼ばれている。(東京都t教育委員会)

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真姿の池と小町伝説
 天長五年(828)、武蔵国分寺に一人の異相の男が訪れ、応対に出た住僧教心に向かって、
「私は、浦島という者です。池に祀られている弁財天の使者として参りました。ご存知の金光明経七の巻の中に、四雷王という文字があります。これは、雷電の災厄はいうに及ばず、人間もろもろの災難を払う有難い経文です。その文字を記して世間の人に与えれば、庶民はあらゆる災厄を免れて平安が得られます。」と言った。
 浦島と名乗る男は、僧教心を伴って池のほとりまで来たとき、かき消すように姿が消え、そこに三尺四方の石があり、四面に「四雷王」の三字が金色で鮮やかに刻まれていた。僧教心は、「これは、弁財天が浦島に姿を変えて、私を導いて下されたものだ。」と思い、その石を「雷王石」と名づけ、改めて金光明経の一節を唱えた。そして、浦島から教えられたとおり、雷電王というお札を作って世の人々に広く配布することにした。
武蔵野はよく落雷があり、このお札を家の戸口に貼っておくと、雷の被害はもとより、あらゆる災害をまぬかれると大変な評判になった。
 この頃、玉造というところに、一人の若い娘がいた。年頃になると近隣に並ぶものもないほどの美女になり、誰いうとなく「玉造小町」と呼んでいた。この娘が、当時天刑病とも云われ、一度かかったら不治と云われた業病(ハンセン氏病で現在は不治ではない)にかかった。
 輝くほど美しかった顔も崩れ絶望と傷心の日々が続き、武蔵国分寺に奇跡を起こす石があると人伝て聞いた彼女は、わが顔を頭巾で包み、僅かな供を連れて国分寺を訪れた。まず、国分寺薬師に詣でて、一心に病気全快を祈った。その時、何処からか一人の童子が現れ、彼女を池まで誘い、「この池の水で身体の悪いところをよく洗い、それを七日続けなさい。」と告げると、童子の姿は消えてなくなった。彼女は、童子に云われたとうり、中の島の祠の脇に篭り、七日七夜、池の水で患部を洗っては、祈り続けた。
 七日めの朝、彼女は、池から彼方の岸に架かる七彩の虹を見た。その虹の橋に神々しい弁財天の姿が現れ、彼女に向かって笑いかけているのを見て、思わず立ち上がって近づこうとすると、虹の橋と弁財天の姿が消えてなくなった。
 彼女は、再び池の端にひざまずき、池の中に目をやると、そこに美しい女人の姿が映っている。それは業病にかかる前の彼女の姿であった。
池に、玉造小町の生来のまことの姿が映ったということを聞いた里の人々は、それからこの池を「真姿の池」と呼ぶようになった。(有峰書店昭和49年発行「武蔵野の民話と伝説」原田重久著から、なお文章は変えている)
 この物語は二つの話を記述している。後半の玉造小町の話は東京都教育委員会の案内板と全く同じである。
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